けものへんに むし

本と食べ物と育児の話

ブロッコリー

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 料理をしていると、食材が、はっとするほど美しく見える時がある。美しいと感じた時に手を止めると、とても美味しくいただける。

 ブロッコリーを蒸す時に、特にそう感じる。

 深めのフライパンに水を注ぎ、蒸し皿を敷く。蓋をして、強火にかける。その間に、ブロッコリーを一口大に切ろう。大木の枝を落とし、芯はピーラーで皮を剥いてから輪切りに。
 湯気があがったら、蒸し台に、輪切りにした芯を並べよう。その上に、小さな木々を散りばめる。
 再び蓋をして、キッチンタイマーを1分セット。強火のまま蒸す。タイマーが鳴ったら火を止める。1分という時間が短いので、火が通ったか不安になるかもしれないが、止めよう。

 蓋を開けると、湯気の奥に、みずみずしい緑があらわれる。小さな木の頂は、細やかな緑。裾に向かうにつれ黄緑を帯びてくる。
 芯の断面の中心には、白がにじんでいる。放射状に広がるそれは、黄緑の世界の星にも見える。

 店頭で、くすんだ緑一色だった野菜は、湯気で命を取り戻した。

 口に入れると、しゃきしゃきとした歯ごたえが心地よい。まさに、食べごろ。 

 ゆですぎると、こうはいかない。
 まず、色がくすむ。歯ごたえがなく、青臭い。 
 美しいと感じた時が食べごろなのだ。

 ブロッコリーを温かい出汁にくぐらせると、いくらでも食べられると教えていただいた。
 早速、試したところ、気がついたら夢中になって食べていた。うちの、定番である。

Photo by liz west/broccoli/https://www.flickr.com/photos/calliope/8355889301/in/photostream/